2時間版言の葉の庭

 舞台 言の葉の庭
 原作の新海誠監督の映画は46分という短い時間でどうやって主人公とヒロインを魅せるかに全てを賭けた作品でしたが、この舞台は小説版の描写を加えて1時間50分の完全版を目指したような仕上がりになりました。
 映画ではあまり説明がなかった主人公とヒロインが何故この状態になったのか、もきちんと説明して、映画ではぼかされていた背景も綺麗に映し出されます。それが良いか悪いかは別として。
 特にアニメではほとんど出番の無かった相沢の行動によりこの作品は「継承の失敗」を書いているとはっきり明示していました。両親から子供、師匠から弟子に受け継いでいくものが綺麗に切られてしまっているのです。このバージョンで映画作っていれば印象は全然違うものになったでしょう。
 主人公のタカオ君(16)は随分大人で、もっと遠くまで歩けるようになったら会いに行こうと最後に締めてましたが、彼は十分にどこかに行ける人なんだと思います。
 この作品以降の作品から新海誠監督は大ヒットアニメ作家になるのですが、この頃はまだ自分が作りたいものをある程度自由に作れたのですよね。改めてそれを確認出来た舞台でした。