母が家に何年も使われていないエレクトーンを見ながら、私にもう一回やってみる、と聞きました。
私はいやぁ、と言葉を濁していると、母は私はエレクトーンはあんまり強要しなかったからねえ、と。
私は絶句しました。確かに機嫌の良い時はそうだったかもしれません。しかし、機嫌の悪い時はエレクトーンを弾いて間違えると回し蹴りが飛んできたのです。だからもう一回やれ、というのは絶対に嫌なのです。
きっと母の記憶は自分に都合の良い形に変わってしまっているのでしょう。もちろん、私もそうかもしれませんが。
ここで私が反論してもお互い嫌な気持ちになるだけです。悲しいなあ。