2015春アニメ感想1

 アニメ プラスティックメモリーズ
 放送2015/04〜2015/06 全13話 評価8.0(10点満点6点が及第点)
 このアニメは、人間と寿命が残り僅かのアンドロイドのラブストーリーです。
 第1話を見ただけで、今後のストーリー展開と最終回が容易に予想でき、その予想は実現していきます。
 何処かで見た設定とストーリー。それでも見ていて不快にならないのは、徹底的に当たり前を外さないから。もちろん、細かな設定で突っ込める部分はありますが、新鮮なテーマで無いからこそむしろ新鮮な印象を受けました。
 高評価の理由は背景の素晴らしさ。ここ数年、人気作品を連発している動画工房の描く近未来都市や遊園地はそれだけで美しい。そして、ツカサとアイラが恋人になった後の距離感の変化の描写。これだけでも見る価値がありました。
 おそらく、多くの人はこの作品はあまり高い評価はしないでしょう。ですが、私は名作だと思います。
 個人的には主人公のツカサのキャラクター付けが気になりました。
 ツカサは頭はあまり良くないし、要領は悪いです。アニメ上はカッコよく描かれていますが、実際には並の容姿しかないのでしょう。でも誰よりも一生懸命で真面目。
 実際にはツカサみたいな人間は、他の「優秀な」人間のカモや嘲笑の対象にしかならないのですが、アニメでは彼の良さをみんなが理解してくれて、最高の恋人まで出来る。
 一生懸命で真面目しか取り柄のない人間はアニメの中くらい報われても良いですよね。私はツカサが大好きです。


 アニメ グリザイアの迷宮&グリザイアの楽園
 放送2015/04〜2015/06 迷宮1話 楽園10話 評価5.5(10点満点6点が及第点)
 昨年放送された、グリザイアの果実の完結編です。
 果実では、主人公の雄二が問題を抱えたヒロイン達を持ち前の能力で次々と解決していく話でした。
 迷宮では、主人公の雄二が一体どんな人生を送って、その能力を手に入れてきたのか、という過去の話。
 楽園では、陰謀に巻き込まれてしまった雄二を、彼に助けられたヒロイン達が救うという話。
 主人公が美少女を助けるのはギャルゲー・エロゲーでは良くある事ですが、ヒロインが主人公を助けるというのは珍しい。
 ツッコミ所はいくらでもあるのですが、それを含めてB級映画的な楽しみ方が出来るアニメです。
 最後に。ヒロイン達は様々な問題を抱えていて、美浜学園という学校に身を寄せるのですが、彼女達のスキルを見ると別に学校になんか行かなくても良いのではないか、と感じます。
 何しろスーパーコンピューターの手助けがあるとは言え、テロリスト相手に普通に戦って、しかも勝利する様な人達なのですから・・・


 アニメ 魔法少女リリカルなのはvivid 第1シーズン
 放送2015/04〜2015/06 全12話 評価6.0(10点満6点が及第点)
 人気シリーズ、魔法少女リリカルなのはの新作です。
 シリーズの主人公である「なのは」はこの作品では24歳。現場をセミリタイアしており、今作は前作Strikersのキーパーソンで、なのはの養女であるヴィヴィオが主役です。
 内容は美少女バトル漫画。ヴィヴィオが仲間や師匠、ライバルと切磋琢磨しながら、魔法格闘技大会を勝ち抜いていき、友情や絆や愛は拳で語り合うというクラシカルなストーリー。
 ストーリーはセパレート式の2クール。作品の山場はこれからになりそうです。
 人気シリーズの最新作にも関わらず、盛り上がりに欠けたのは前作からだいぶ間が空いたから。前作Strikersは8年前の作品で、原作漫画の連載開始が6年前。流石に遅きに逸した事は否めません。
 個人的にはヴィヴィオのライバルでこの作品のヒロインであるアインハルトの記憶に疑問を持ちました。ネタバレを含む内容になります。勘違いしているなら指摘してください。
 かつて、「ベルガ」という国家群がありました。ベルガは戦争に次ぐ戦争で疲弊していました。
 そんな中、ある国の王子「クラウス」とある国の王女「オリヴィエ」は敵国同士の王子・王女でしたが、お互いに想いあっていました。オリヴィエは子供の頃、クラウスの国に人質として住んでいて、兄妹の様に育ったからです。
 戦争が長引く中、オリヴィエは古代の超兵器、聖王のゆりかごを自身を犠牲に起動させて終戦に。これにより彼女は後世の人々から聖王と呼ばれるようになります。
 クラウスはその後、オリヴィエを守れなかった事を悔い、己の武術カイザーアーツを極め、後世の人々から覇王と呼ばれ、オリヴィエとの出会いと別れは、今でも人気のある昔話です。
 ヴィヴィオはオリヴィエのクローン体。Strikersでは彼女を利用し聖王のゆりかごを再起動させようとしたテロ集団をなのはとその仲間達、機動六課が阻止した話です。
 アインハルトはクラウスの直系子孫。魔法による影響なのか、彼女はクラウスの記憶を受け継いでいて、ヴィヴィオに対して複雑な想いを抱えながら、彼の編み出したカイザーアーツで戦う事を誓います。
 これだけ見ると、純愛なのですが、クラウスって、妻(オリヴィエではない)も子供もいたのですよね。直系子孫のアインハルトの存在がその最たる理由。にも関わらず、アインハルトの記憶にはその妻や子供は全く出てきません。
 劇中でのクラウスは好青年に描かれていましたが、私は戦争による影響があった事を差し引いても、どうだったのかと考えています。
 最後に、従業員を一月に600時間働かせる事で有名なA-1Picturesが製作にも関わらず、作画が最悪だった事は記述しなければなりません。本当に最悪でした。