最後は気持ち…の前に

 2010年J1リーグ最終節はヴィッセル神戸の残留とFC東京の降格で幕を閉じました。神戸の試合をテレビ観戦だったのですが、何故神戸がからくも残留という状態なのか不思議に思えるくらい素晴らしい出来でした。
 神戸はとにかく前線からのプレスの連続。決して連動が完璧というわけではないのですが、鬼気迫る強襲に浦和はボールを前に出すどころかキープすらままならない。
 とにかくそこにあったのは「降格したくない」という気持ち・根性・魂・精神・意地、そういったものでした。私は「気持ち」や「気合い」とか全面に押し出すのはあまり好きではないのですが、ここまで見せつけられると何も言えません。
 だけどヴィッセルは決して気持ちだけで残った訳ではありません。短い準備時間で伝統的に「守ってカウンター」タイプのチームを「プレスで奪って素早く裏に」タイプに切り替えれたことは和田監督の采配と選手の適正のマッチングの良さ。そして、ある程度の基礎技術・基礎戦術の高い選手が揃っていたこと。更に猛暑の夏以降にプレスに切り替えれた事(仮に夏の始めから導入していたらシーズン最後まで持たなかったでしょう)。
 正に、天の時(戦術変更のタイミング)・地の利(選手の基礎能力がそれなりだった)・人の輪(残留なれしているからチームがまとまれた。逆に東京は初めての事で分解した)と三つ揃った見事な残留でした。
 マジック(奇跡)ではなくロジック(理論)の残留劇。明日から少しは「最後は気持ち」を信じてみたくなる試合でした。
 当事者じゃないから、気軽に言えるけど、楽しかった。