決定力ってなに?

 サッカーで勝てないと、良く「決定力不足」と言われます。いつのまにかそれが拡大解釈されて「物事を決められない男ども」となっているのですが、それは別の話として。

 でも、「決定力」のあるチームって一体どこでしょう。思い返すのは昨年のクラブW杯での決勝戦、「バルセロナインテルナシオナル」です。世界でもおそらく五指に入るのは間違いなく強いチームです。しかしそんなチームでも少し調子が悪くなっただけでインテルナシオナル「ごとき」のチームから一点も奪うことはできませんでした。センターFWがレギュラーのエトーではなくサブのグジョンセンだったから、と言う人もいますが、グジョンセンはかなりいい選手ではないでしょうか。少なくとも決定力不足な日本人FWよりは確実にマシでしょう。
 バルセロナですらこうなのですからサッカー日本代表が決定力不足なのは言わずもがなでしょう。本当に決定力不足に困らないチームは痩せているロナウドや若い時のシェフチェンコがいるチームくらいです。それでも確実ではありませんが。

 決定力不足を補う方法として、最も簡単なものとしては「攻撃のパターン化」というものがあります。ボール運びの部分をオートマチック(メカニズム)にしてある程度、選手が考えなくても攻撃が成立するようにすることです。確かに最後、「相手をかわしてシュートをゴールの中に入れる」というのは選手の技術にどうしても依存してしまいますが、逆に言えばそこまではマニュアル化することが可能ということでもあります。
 「そんなことをしたら相手に読まれてしまうではないか」というのも確かに一部では事実です。でも、そういった時に緩急をつけたりフェイントで読まれないようにするのがゲームメーカーと呼ばれる選手たちの仕事ではないでしょうか。実際、多くのチームでは「このパターンに持って行きさえすればたとえ読まれようと決める」という必殺技を持っています。
 日本代表でも一番決定力があった時代はトルシエ時代の中盤〜日韓W杯のチュニジア戦まで。FWのポストプレイから2列目・3列目の飛び出しで崩すパターンが概ね完成し、ある程度の相手ならば崩してゴールすることもできていました。
 
 クラブチームとは違い日本代表は練習で集まることも少なく、攻撃パターンを構築するのは難しい作業です。オシムジャパンもまだ守備の調整の段階で本格的に攻撃に手を加えるのはもう少し先のことでしょう。でも一部のFWが何試合か得点できないだけで、「日本は決定不足だから勝てない」と断じるのは少しおかしいのではないでしょうか。