未完成でもアジアの頂点

 AFCサッカーアジアカップ2011 カタール大会は日本の優勝で幕を閉じました。
 サッカー日本代表は昨年の南アフリカワールドカップのベスト16に続く快挙で、サッカー人気凋落をすんでで回避(Jリーグの人気は上がりませんが)。
 いつの間にか名将に祭り上げられていますが、私はザッケローニ監督が特別なことをやった訳ではないと思います。彼が行ったのは守備システムを普通に戻しただけです。いってみれば「普通の監督が指導すれば日本代表はもっと強くなれるのに」というここ10年間のファンの声に答えた「普通の監督です」。
 この大会でも日本の戦術のベースは20年前の延長で人をかけて守り、ショートパスとサイドバックの攻撃参加で攻めるといったものでした。それをより鮮明にしたのが監督の手腕と言えます。
 ただ問題点はいくつも残りました。
 守備時では「サイドバックの裏を取られたら即大ピンチ」「守備時には両ウイングが下がって4-4-1-1の形になるが、戻れない時(中盤のパスミス等)は途端に崩壊する」「ボランチが守備専従型ではないので押し込まれると脆い」など。
 攻撃では「センターフォワードがゴール前で蓋をしてしまう(準決勝からの二試合は随分修正されましたが)」「サイドバックが上がれないと攻撃が中央に偏り詰まってしまう」「一点欲しいときに切れるカードがない」など。
 未完成でも日本代表はアジアカップを優勝しました。未完成ということはまだ延びシロがあるということです。
 しかし、引き替えに多くの代償を払った大会でした。香川選手や松井選手が怪我で離脱、香川選手に至っては長期離脱。他の欧州組も疲れて所属チームで前のようにいいプレーが出来るか不安です。国内組の今野選手・遠藤選手・前田選手はJリーグ開幕時には出場できるかどうか。
 とにかく今は選手にはがっちり休んでもらいたいと思います。今年は南米選手権やワールドカップ三次予選など重要な試合が盛りだくさんなのですから。