五年経って

 営業時代に、やたらと「キャバクラ行こうぜ!」と叫ぶ先輩(私より20歳くらい年上)がいました。ちなみにその人は支店のエース級営業マンだったのですが。
 おごられた立場とあまりよろしくない事ですが、正直あまり私には楽しい場所ではありませんでした。私はお酒は飲めないし。女の子にアニメの話をしてもねぇ…
 だけどあれから五年経ってようやく先輩の気持ちがわかってきたような気がします。
 毎日、同じ職場で同じ同僚と顔を合わせて、家に帰っても家族仲が悪い訳ではないけれど、上手くいっていない。先輩はただ膨大な予算をかけて「違う社会との接点」が欲しかっただけではないのでしょうか。
 今でも私はそういったお店には行きません。一時間分あれば、医者に行って薬を二回買えるし、本を買って勉強も出来る。ユニクロならば全身セットで服を揃える事も出来るでしょう。
 誰もがどこかで誰かと繋がっていたいのです。一人は楽だけどやっぱり寂しいよ。と、あの時気が付いていれば、もっと別の気持ちでキャバクラに行けたのに。