こうして、私の今年の夏は終わった

 アニメ 乃木坂春香の秘密
 放送2008/07〜2008/09 評価7.5(10点満点6点が及第点)
 至って平凡な男の子と、大財閥のお嬢様なのにアキバ系の女の子のボーイ・ミーツ・ガールはまさにロンドローブ
 声優陣も長きに渡ってロンドローブを支えてきたメンバーが最も得意な役柄で伸び伸びと演技。特に能登麻美子さんのお嬢様役はいかにもな配役にも関わらず、むしろ新鮮とさえ思えてしまう好演でした。
 アニメ自体もRONDO ROBE2008で見た時の衝撃を裏切らない出来。特に第3話の「主役の裕人が春香の家に遊びに行くシーン」の背景にびっくり。「春香嬢が住んでいるのは高級住宅街なのだな」と説明はないのに感じられる素晴らしい演出でした。さらに第一期ではあまり出番が無かったもう一人のキーマン椎菜嬢との三角関係「未満」を描いた第9話・10話はもう"見ればわかる"の完成度。
 アニメ版は原作小説を大幅に変えているのですが(原作の3巻と4巻のストーリーの順序がアニメでは逆になっている)、それが全く気にならず、むしろこっちの方が話の流れに矛盾が少なく思えました。原作のイメージを大切にしながら12話のアニメ用に要素を分解・選択・再構築する。これこそが本当の意味の「原作通り」と言えるのではないでしょうか。
 アニメで放送したのは原作小説の4巻まで(現在8巻まで出版)。第二期も期待できそうです。



 アニメ マクロスFRONTIER
 放送2008/04〜2008/09 評価7.5(10点満点6点が及第点)
 マクロスFRONTIERは可変戦闘機の物語ではなく「家族」の物語だと思います。登場人物は多かれ少なかれ家族関係に問題があって、ストーリー前半はそれに可変戦闘機で迷彩をかけていたのですが、後半はその問題のあった関係がどんどん明るみに出て、それを自分たちで新しい家族を作っていくという形に変わってきました。特にラスト6話は家族の再構築の方に重きを置いていたように感じます。
 ただ、この作品には3つの弱点があります。一つ目はシリーズ作品で多くの難解用語があるにも関わらず、オフィシャルページですら用語解説をしていないということ(もちろん、最近では電子辞書サイトやファンサイトがあるのでそこで大半はカバーできるのですが)。
 二つ目はTBS系深夜アニメでは良くあることなのですが、放送時間が毎回のように変わってしまうこと。現在ハードディスクで毎週自動的に設定が変更され問題なく録画できる環境の方は何パーセントくらいいるのでしょうか。
 三つ目は「戦闘機からロボットに変形する可変戦闘機」「恋の三角関係」「歌」という三つのテーマで今まで描いてきたマクロスシリーズですが、もう今回のマクロスFでやるべきことを完全にやりきってしまい今後、続編を作ろうとした時にやることが無くなってしまうのではないか。
 ただこれらは些細な問題に過ぎません。「マクロスシリーズの新作」という高品質が求められる状況において、ここまで期待以上の作品に仕上げた製作者に脱帽です。2008年を代表するアニメとして、おそらく今年(今年度)のアニメ関係の賞は総なめしてしまうことでしょう。
 詰め込みすぎだったにも関わらず、やや尻切れトンボだった最終回は案の定劇場版への繋ぎでした。やるからには三角関係にとことん決着つけてください。